消費税申告書①~試算表との整合性チェック~

市販の会計システムを使っていれば、消費税申告書って出てくるんですよね。なので、大したことないと思いがちです。しかし、チェックすべきこと、知っておくべきことがあります。他はきっちりできている会社でも、消費税でミスをしていることはよくあります。

そこで、消費税申告書をテーマに5回シリーズで書きたいと思います。網羅性度外視で

決算時の未払消費税等を計上するための申告書の作成とその前準備

に絞って説明します。


①試算表との整合性チェック←イマココ
②間違いやすいポイント
③申告書の様式
④集計表から申告書への転記
⑤最終確認と決算整理仕訳


消費税の処理をする前に経過勘定の処理などの決算整理を終わらせておきましょう。消費税の決算での処理とは、

仮払消費税と仮払消費税を0にして、未払消費税等を計上すること

です。

消費税の処理をしたあとで仕訳が入ると、やり直しになります。

例えば、、、

仮払消費税 0
仮受消費税 0

になるように決算整理仕訳を入れたあとに、

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こんな仕訳が入ると、0にしたはずなのに試算表上で

仮払消費税 8

と出てきて、

??

となっちゃいます。

でも、入れた仕訳には仮払消費税なんてないですよね。

これは、借方の「旅費交通費(課税)」の

「課税」

が影響しています。会計システムに上の仕訳を入力すると

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という仕訳が切られます。とても便利な機能です。しかし、仕訳入力の担当者が仮払消費税を意識しないで入力してしまうので、こういうことが起きてしまいます。

なので繰り返しになりますが、

経過勘定の処理などは終わらせてから消費税に取り掛かりましょう。


会計システムには、消費税の処理を集計して一覧表にする機能があります。先程の仕訳を例に説明します。

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この仕訳を入力すると、消費税集計表の課税仕入の欄に

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と集計されます。

この集計表を基に消費税申告書を作成するので、正確に集計されていることが必要です。しかし、この仕組を理解せずに手でいじってしまうと集計がおかしくなります。
例えば、先程の旅費交通費が海外での旅費だったとします。海外では日本の消費税は課税されないので、消費税の「対象外」です。よって、

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という仕訳が正解です。しかし、普通に入力すると、

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「課税」の処理をします。ここで、「消費税がかからない」ということだけ知っていて、仕訳の仮払消費税だけを消してしまうことがよくあります。

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こうすると、会計システムは貸借を合わせるために

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という仕訳にしてしまいます。「課税」なのに仮払消費税がありません。おかしいですよね。この仕訳だと消費税集計表には

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と集計されます。明らかに辻褄が合っていません。

この状態だと、「⑤最終確認と決算整理仕訳」の回で説明しますが、多額の雑損失を計上することになります。そうならないように、ここでチェックを掛けておきましょう。形式的にチェックできるので、簡単です。

会計システムから消費税集計表をExcelにエクスポートし、ちょっと数式を付け足します。

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赤の部分を付け足しました。消費税が正しく処理されていれば、このように差異は出ません。実際は端数の関係で若干の端数は出てもOKです。

消費税の処理を誤っていると、

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となり、差異が出るのですぐわかります。このチェックで多額の差異がある勘定科目をさらに掘り下げて原因追求をしましょう。


会計システムの消費税集計表の該当する科目をダブルクリックすると、勘定科目から仕訳ごとに分解できます。

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かなり省略してますが、こんな感じで出てきます。これを先程と同様にExcelにエクスポートし、数式を付け足してチェックします。

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また、赤の部分を付け足しました。仕訳が1行なら数式を使うまでもありませんが、大量の仕訳をチェックするにはこのようにするとあっという間です。

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さらにフィルタ機能を使って、大きな差異が出ているところだけを表示して確認します。

フィルタに引っかかった伝票番号の仕訳を確認しましょう。例えば、一番上の差異が△28,282の処理。

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海外の旅費としましょう。仮払消費税が0となるのは間違いではないのですが、旅費交通費が「課税」のままになっています。では、修正しましょう。

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「課税」を「対象外」とすればOKです。たったこれだけですが、件数が多いと大変です。計上時に間違わないようにするのが一番なので、

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仮払消費税をいじるのではなく、「課税」を「対象外」にする

ようにしましょう。


仮払消費税を直接いじる以外にも、同様の事象が生じることがあります。それは、

他システムとの連動させる場合

です。

CSVを介しての連動でもよく起こります。

要注意ですね。


【まとめ】

会計システムを使わないと、経理の仕事はできません。でも、正しく集計できるようにシステムに入力しないとグチャグチャになります。

消費税の整合性が取れていないことは、しっかりとした経理部門でもよくあります。しっかりチェックして、きれいにしましょう。

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